「ゴールを上げ続ける」という罠

コーチング実践者が陥る構造的矛盾

「ゴールを設定し、達成する前にさらに高いゴールを設定し、また達成する前にさらに高いゴールを設定して……」

この繰り返しに、あなたは違和感を覚えたことはありませんか?

外側に答えを置いた瞬間、”正解”は永遠にあなたの手の届かない場所へ移動していく。

これは、多くの実践者が無意識に陥る”コーチング理論の誤解”です。

そして実は、この違和感こそが、コーチングの本質を理解する入口なのです。


「ゴールを上げ続ける=外側に正解を置く」という誤解

結論から言えば——

「ゴールを上げ続ける=外側に正解を置く」という構造になってしまうと、コーチングは”永遠に満たされない装置”になります。

ただしこれは、コーチングの思想そのものがそうだという意味ではありません。

多くの人が“誤った解釈”でゴール設定をすると、そういう構造になってしまうのです。

実践者が陥る「外側化」のメカニズム

ゴール設定を学んだ多くの人が、こう考え始めます:

  • 「スケールの大きさ」こそが良いゴールだ
  • 「社会的インパクト」が大きいほど価値がある
  • 「抽象度の高さ」で評価される
  • 「他者貢献の規模」で測られる

すると、こんな循環が始まります:

  1. 「他人が羨む規模」でゴールを作る
  2. 達成前に「もっと社会貢献度が高い」ゴールを乗せる
  3. また達成前に「さらに大きい」ゴールを乗せる
  4. ずっと届かないままエスカレートしていく
  5. でも「現状の外」であるべきだと言われているから引き返せない

結果として、永遠に自分にOKが出せない構造が出来上がります。

これはまさに、冒頭の構造そのものです。


コーチングの本来の思想を取り戻す

内部表現と臨場感の原則

コーチングの根底には、こんな原則があります:

  • 「すべては内部表現である」
  • 「臨場感が高い世界が現実をつくる」

つまり、本来のゴール設定は、外側の基準ではなく、「自分の内部表現の世界が、自然に望む未来」を設定するものです。

ここには、比較も承認欲求もありません。

本来のゴールには、こんな動機は含まれません:

  • ❌ もっと評価されたい
  • ❌ 誰かに認められたい
  • ❌ 凄い人と思われたい
  • ❌ 社会的に価値あることがしたい

「現状の外」は、規模の話ではない

コーチング理論を深く読み解くと、本来の「現状の外」とは“規模”のことではありません

「自分のコンフォートゾーンの外」「今の自己イメージを超えていること」——これが”現状の外”です。

つまり:

  • 「世界を救う」という巨大ゴールが現状の外になる人もいれば
  • 「今日は穏やかに過ごす」が現状の外になる人もいる

規模の大小こそが、誤解の始まりなのです。


永遠に満たされないのか?──本質的にはNO

コーチングの本質思想は、“内部表現の変化=満たされるプロセス”です。

むしろ、本質を理解して使うと:

  • 生きることがどんどん楽になる
  • 淡々と自然体で創造できる
  • 力まずに未来をつくれる

これが“本来のコーチング”です。

満たされないのは、いつなのか?

満たされないのは、こんなときです:

  • ゴールが「外側化」しているとき
  • 自分の内側に基準を戻していないとき
  • 自己イメージとの乖離を埋めるためにゴールを使っているとき

内側に基準を戻すことは、矛盾しない

「内側の満たされ感を取り戻すことは、コーチングのゴール更新と矛盾するのでは?」

この疑問に対する答えは——

★【答え】矛盾しない。むしろ本質に近づいている。

本来のコーチングは、“内側(内部表現)が満ちるほど、自然に外側の成果が生まれる”という思想だからです。

理論構造として言えば:

  • 外側のゴールは、手段であって目的ではない
  • 人生の”安心と満ちる感覚”は、内側にしかない

その感覚が戻ると:

  1. 苦しさのないゴール設定ができる
  2. 無理のない創造が始まる
  3. 自然体で現状の外へ進める
  4. 逆に成果は勝手に付いてくる

という循環が始まります。


健康的なコーチング実践へ

「外側巨大ゴール」の弊害を理解し、そこから抜けてきた視点で言えるのは——

内側が満たされていないまま外側のゴールを追い続けても、それは”永遠に満たされない装置”になるだけということです。

逆に、内側に基準を戻すと、コーチングは本来の力を発揮し始めます

これは、コーチング理論の”誤解を解く”プロセスであり、同時に”本質に還る”プロセスでもあります。

あなたが感じている違和感は、正しい

もしあなたが「ゴールを上げ続ける」ことに疲れや違和感を感じているなら——

それは、あなたの内側が「本来のコーチングはこうじゃないはずだ」と教えてくれているサインです。

外側化したゴールを、内側の基準に戻す。

このプロセスこそが、コーチングを”永遠に満たされない装置”から”自然に満たされる創造プロセス”へと変えていきます。

そしてそれは、コーチング理論の本質と完全に一致しているのです。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

コメントを残す