
苫米地式コーチング認定コーチ 針金 雅信です。
無意識コンフォートゾーンに気づく
もう、いつ読んだんだっけ?
村上春樹の小説に、山羊が重いうえに壊れて動かない金時計をいつも首からぶら下げていて、友達のうさぎが「なんでそんな動きもしない時計をいつもぶら下げてるの?重そうだし、何の役にも立たないじゃないか」と尋ねると、
「そりゃ重いさ」
「でもね、慣れちゃったんだ。時計が重いのにも、動かないのにもね」
という部分を思い出した。
山羊の誕生日に、うさぎは軽くて綺麗で、正確に動く新しい時計をプレゼントすると、山羊は大喜びで新しい時計をみんなに見せて回ったんだけど、
「重くて動かない時計をぶら下げていることに慣れる」というのが、山羊のコンフォートゾーンで、「新しい時計」は、脳と心の使い方に当たります。
(新しい時計を上手に使えるかは、山羊のゴール設定によりますが)
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コンフォートゾーンとは、慣れ親しんだ心地よい空間ということですが、スポーツなどの「ホームとアウェイ」の関係がわかりやすいのではないでしょうか?
ホーム戦では、慣れている場所なのでリラックスして試合に臨めやすいが、アウェイでは同じスポーツなのでやることは同じなのに、慣れている場所ではないので、ホームに比べてやりづらさがあります。
仕事でも、いつも働いているのが「○○支店」なのに、「今日だけ■■支店にヘルプに行ってくれ」となったら、同じ内容の仕事でも勝手が違ってやりづらいでしょう。
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このコンフォートゾーンは、山羊のように一見過酷な状況に置かれている人も、自分は慣れてしまっていて、当たり前だと思うことで、過酷な状況がコンフォートゾーンになってしまいます。
ここが曲者なのですが、コンフォートゾーンの外に出ようとしたり、自分とコンフォートゾーンが全く違う何かがそばに近寄ると、大変居心地が悪くなります。
ブラック企業で「組織に貢献する!」と、いつも朝から晩まで残業しているのも、慣れてしまえばコンフォートゾーンになってしまいますし、
「じゃあ辞めればいいじゃん」と言われて、いざ辞めることを考え始めると、脳はものすごい発想力で辞めない理由を考えついてしまうものなのです。
この、ものすごい発想力で回避することを
「creative avoidance」(創造的回避)といいます。
コンフォートゾーンに戻るための回避の創造は、驚くほどクリエイティビティです。
そんな人の隣で「俺たちの会社、残業ないし、待遇いいし、最高だよねー」と幸せそうに会話しているのが聞こえたら、当然居心地悪いわけです。そんなコンフォートゾーンに割り込んできた要因を、排除すらしたくなるでしょう。
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自分のコンフォートゾーンを意識してみてください。
「あー、よく考えたら自分の未来にとって良くないコンフォートゾーンを発見した」
では、強力なコンフォートゾーンをどのように移行させていくのか?
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螺旋状の感動

「感動」は螺旋状なんだ。
例えばバンド組んだ時の話。
バンドを始めた頃は『俺達だけで音が出る』って事に感動したんだ。それが螺旋階段の一段目。
でもだんだんバンドをやって行くうちに(螺旋階段を登って行くうちに)、感動のポイントが変わっていく訳。
初めてオリジナル曲ができたとか、初めてレコーディングをしたとか、初めてライブをしたとか、音源ができたとか、ツアーに出たとかね。
でもそうやっていろんな事で感動して(いろんな段に立って)、もう一回スタジオで三人だけで音出したら感動したんだ。
要は一周した訳。螺旋階段だから登って行く分高さは違うんだけど、必ず同じポイントに戻ってくるんだよね。
ポイントはどこでもいいんだ。今例に挙げた『音を出す』ってトコに限らずさ、ライブだって何だっていいんだ。もちろん音楽に限った話じゃないしね。
だから『あの時の感動をもう一回』って意味でスパイラル・インプレッション(螺旋状の感動)ってタイトルにしたんだ。
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僕らのバンドは、「売れたい」とか「あのバンドみたいに」とか考えもしてなくて、「ずっとバンドを続けていく」という現状の内側のゴールを継続しているから、今も自分らのペースで活動していますが、「want to」が根底にあるわけです。
例えば、様々な出来事がある→新しい曲を創る。そしてみんなで音を出す。最高。
趣味のゴールとしては、まだまだ様々なゴールを設定していて、その未来がやって来ている状態ですね。
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コンフォートゾーンの移行

コンフォートゾーンは、「いつもの」や「慣れている」がコンフォートにさせています。
原因は、「臨場感」が圧倒的に高いからです。
「イメージ」も「臨場感」も、普段の生活で当たり前に繰り返されるので、圧倒的「リアル」として、ビシビシ体感しています。強力のはずです。
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コンフォートゾーン移行は、「want to」のゴールを設定します。(現状の外側のゴール)
現状の外側なので、最初から具体的な達成方法などわからない状態ですが、当然、自分のセルフトーク(自己対話)を徹底的にポジティブにします。
ゴール達成時の様々な感覚を、できる限り細部まで映像化してイメージしてください。そのイメージに臨場感を感じるわけですが、いわば「未来の記憶を創る」ということ。
「自分はすでにゴールを達成している」というイメージと臨場感を深めます。
ゴールの世界のイメージと情動を自分の中で何度も繰り返す
↓
未来の記憶が無意識の中に刻まれる
↓
未来の記憶の方に臨場感を感じる
↓
コンフォートゾーンが移行して認識する世界が変わる
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コンフォートゾーンの移行は、自分が「重要だ」と感じている物事の順番が変わるということ。
重要性が変われば、認識する物事が変わるということ。
例えばあなたが「この車が欲しい」という車種に出会って、その後に街中を歩くと、その車種が通り過ぎる度に、「おっ!」と注目するでしょう 。
同時に向かい側を走行する車も見ているはずなのに、その車種は認識から外れることでしょう。
認識が変われば、自分が捉える世界が変わります。
当然「臨場感」の高いほうに、想像力を発揮するので、ゴール達成の方法が見えてくるのです。
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しかし、「未来の臨場感」と言われても難しいと思われます。
映像化の中で、過去の記憶を利用して、未来の記憶と合成することで、リアリティが増します。
そう、様々な場面で何度も螺旋状に起こった感動を、未来の記憶に合成するのです。
■北海道の函館で見た、圧倒的な朝焼けに感動した。
■数百人の前でプレゼンし終わったときの拍手が誇らしかった。
■チームで高い目標を一丸となって達成したとき、ものすごく嬉しかった。 など
私たちは、未来思考で生きているので、どんどん螺旋階段を駆け上げっていますが、その地点地点で起こった感動は、未来へのゴール設定に役立つのです。
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それなのに、まだ持ってんのか? ”throw away clocks!”